『拝啓、ファンマ・リージョ
あなたが神戸を去り、ひと月経ちますが、
まだまだヴィッセルは負け続け、平和ではありません。』
理想主義者のご本人自身は嫌いじゃなく、むしろ好きなのに、過度な信奉者とは距離を置きたい感じがジョン・レノンへの感覚とかぶってくるんだよなぁ。
そんな気持ちにぴったりの名曲ともにリージョを振り返る。
「拝啓、ジョン・レノン」(真心ブラザーズ)。
2018シーズンのリージョの思い出
初戦 長崎戦(1-1)、守備は安定を取り戻し、その前の最悪の2試合(浦和戦、鹿島戦)の流れを断ち切ったけど、攻撃面では大きな印象はない試合。
2戦目 川崎戦(3-5)、前半PKで失点するも3点取って逆転、しかし前半終了間際にスンギュのゴールキックミスがタッチラインを割り、そのスローインから集中力が欠けた守備を家長に突かれ1点返され、川崎ムードに転換した。後半は川崎に流れを取り戻され、圧倒されてなすすべなく大敗。
3戦目 名古屋戦(2-1)大量失点が続く流れからか、前回の凡ミスからかスンギュを外し、前川リーグ初スタメン、そして伊野波の久々の復帰。古橋の1トップも含めて、リージョのやりくりが始まった試合。2018シーズンの基本形が定まった。攻撃は前川から丁寧につなぐ意図が明確になり、守備は伊野波の読みとスピードと根性に頼る形。伊野波が出色の出来。
4戦目 鳥栖戦(0-0)特に印象がないまま試合終了。
5戦目 清水戦(3-3)・・・
6戦目 仙台戦(3-2)狙い通りの試合から3-0にするが、ハモン・ロペスが59分に投入されると仙台が一人少ないながらも流れを作り出す。数的有利なのに神戸は不安定になり、落ち着かせることができないまま2点取られ、終わってみたら危ない試合。
2019シーズンのリージョの思い出
初戦 セレッソ戦(0-1) 5バックで引かれ、スペースがなく、VIPをもてあまし効果的な攻撃がないまま、セットプレーで失点。ロティーナにしてやられる。世間ではビルドアップができないと渡部や三原がやり玉に挙げられる。
2戦目 鳥栖戦(1-0) セレッソ戦で露呈したビルドアップ不全の対処策としてダンクレーが鮮烈デビュー。見事にビルドアップの課題に対処。でも結果的に得点は相手ミスからのラッキーな1点だけ。
3戦目 名古屋戦(2-2) お互いにルヴァンカップ用のサブメンバーなので両チームともスムースにはいかない中、カウンターから先制点。しかし、赤崎が投入されると流れを失い2つのPKで逆転される。最後は神戸もPKをもらって何とかドロー。
4戦目 仙台戦(3-1) 今シーズンのベストゲーム。攻撃は魅力的だったし、山口蛍が素晴らしかった。しかし、守備は組織的とはいえず、大崎とダンクレーの複数回のシュートブロックで何とかしのいだ。
5戦目 セレッソ戦(0-0) リーグ開幕戦でしてやられたロティーナにどういう対応をするのかが注目だった試合。前半はポゼッションするもシュートなし。後半はロティーナの修正にまたもやられて押し込まれ続けた。2度もロティーナにやられたのはどうなの?って思った試合。寒かったのに、前後半ともにホームゴール裏から遠い方だけでゲームが進むのでとても不満だったのだ。
6戦目 清水戦(1-1) 大転換、ターニングポイントの試合。前半は神戸ペース。49分にポルディの先制後もいくつか好機があったが決められず、次第に清水ペースに。後半だけで清水のシュートは11本。落ち着けたいリージョの思惑とは逆の流れとなる。交代投入は80分のサンペール。しかし、初瀬のクリアミスから鄭大世に決められてドロー。サンペール投入がこの試合だけでなく、その後を含めた大転換点となった。
7戦目 ガンバ戦(4-3) 今シーズンここまでのクライマックス。前半から、宮本監督の思惑通りに神戸のつなぎを狙われ、サイドバックの空けたスペースを狙われ、ガンバに2点先行される。ビジャに代わって三田、サンペールに代わって田中順也を投入し、二人の活躍もあり最後は大逆転勝利。しかし、ビジャ、サンペールの交代は監督インタビューによるとリージョの意図ではなく、アクシデント的なことだったと。(インタビューを真に受けると結果オーライという形。インタビューでは意図をはぐらかしていた可能性はもちろん大きい)
8戦目 松本戦(1-2) 弱点が露呈し、カウンターを浴びまくり、ミスで自滅。5バックにひかれたプランBはウェリントンへのハイボール。ツキもなく反町の思い通りの試合。
9戦目 大分戦(2-0) 選手の質の差で2点先行。しかし、後半は大分に盛り返され追加点は奪えず。
10戦目 広島戦(2-4) 所用でリアルタイムでは見られず、結果を知って結局まだみてない。
ファンマ・リージョとは何だったのか?
以上が全16戦(6勝6分け4敗)の雑な感想、というか思い出。
夢から覚めた今思うと、相手が準備してきた神戸対策がはまってしまうと効果的なプランBがない、また神戸が優位に進める試合でも逆に相手に試合中に修正され盛り返されることが多いという傾向。ネルシーニョとは別の傾向(ネルシーニョの場合はわざとかと思うほど前半ひどすぎて、後半盛り返す自作自演ってのも多かったけどさ)
リージョ自身はオープンな展開を避けようとしていたけど、裏腹に複数点を取れるのはオープンな試合が多く、その分失点も多い。
2018シーズンは持ち駒のやりくりで明るい希望を生み出した。無名だった古橋の良さを引き出し、出番のなかった宮、前川、伊野波を抜擢し、魅力的なサッカーを見せてくれた。
2019シーズン当初のうまくいかないチームに対して、目に見えた改善はダンクレーの起用だけ。スーパーなセンターバックだもの、そりゃあチームは改善するよね。でも、次第にダンクレーのフィードを警戒され、その効果は薄れた。
戦績と試合展開からいうと決して名監督のものではない。内容も前評判通りのものでもない。
でもなぜか憎まれない、嫌われない、批判されない。風間監督やボステコグルー監督が結果が出てない時期には、選手に対するよりも監督批判の声が大きかった。監督が非難の矢面にあった。
でもリージョ対しては批判・非難はあまりなかった。効果的とは言えないサンペール起用も監督の本意ではなく、裏があるのではという声も多かった。
リージョの理想への共感と名声と人徳のなせるところなのでしょうね。
そして、結果的にそれが不幸な構造を生み出してしまった。
理想は高い位置に掲げられたまま、それを実現できない後継者やミスをした選手への厳しい声、非難の声が大きくなる。
リージョが去った後、その不幸な構造だけが残ってしまった。残念なことです。
2018にみた希望と2019に感じた停滞感。
リージョの理想、理論はリージョ自身がもし続けてたとして実現可能だったのでしょうか?
対戦相手が繰り出してくる神戸対策を上回ることができたのでしょうか?
僕にはよくわかりません。
ポジショナルプレーは勝利をより確実にすると言う代わりに、偉大な選手たちでないと実践できない、と言う間違った思い込みが広がっている。それは逆なんだ。2、3人の選手の2、3タッチで勝とうとするのは奇跡を待つのに等しい。不可能ではないが奇跡だ。— ファンマリージョbot (@Lillooobot) 2019年5月7日
2018は普通の選手でポジショナルプレー実現の気配を見せてくれた。
2019はチームを改善したのは偉大な選手ダンクレー追加獲得の効果のみ。
この思い込みが間違っているということは神戸では証明できませんでした。
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